OFF NOTES SPECIAL FEATURE NO. 005 UNDERGROUND WALK — TOKYO

OFF NOTES SPECIAL FEATURE / UNDERGROUND WALK

東京の地下を一周する、モグラウォーキング

東京駅・八重洲・有楽町・銀座・日比谷・二重橋前。地上に出ないまま、一周してきた記録。

東京駅の丸の内地下中央口。明るい地下の改札前コンコース。
14時46分、丸の内地下中央口。ここから地下だけで一周する。

東京駅には、広大な地下街がある。

大手町、東京、八重洲、有楽町、銀座、日比谷、二重橋前。これが全部、地下でつながっている。総延長は18キロあるとよく言われる。乗り換えのために通ったことがある人は多いと思うけれど、目的地に行くためではなく、歩くために歩いたことがある人は、たぶんそんなに多くない。

僕はこれをモグラウォーキングと呼んでいる。地上に出ずに、日も浴びずに、地下だけを歩く。

理由は単純で、そのほうが快適だからだ。夏でも暑くない。クーラーが効いている。日焼けしないので日焼け止めも日傘も要らない。雨も雪も台風も関係ない。信号がないから止まらない。ゴミが落ちていないし、嫌な匂いもしない。地面は舗装されていて歩きやすい。トイレが至るところにあって、カフェも至るところにあるから、いつでも休める。デパートに直結しているので買い物までできる。

8月の午後、その東京駅の地下街を一周してきた。ここからはその記録です。

CH. 01

丸の内地下中央口から。モグラは地上に出ない

出発は丸の内地下中央口。地上の丸の内中央口ではなく、地下のほうだ。

ここは譲れない。モグラたるもの、最初の一歩から日を浴びるわけにはいかない。

まず目指すのは八重洲への自由通路。ここ、東京駅が初めてだと見逃しやすいところで、丸の内側と八重洲側をつなぐ通路が、改札の外にある。改札を通らずに反対側へ抜けられる。

「八重洲方面(自由通路)」と書かれた案内サイン。
「八重洲方面(自由通路)」。改札の外を通って反対側へ抜けられる。
地下通路に面したROKUMEI COFFEEの明るい店先。
ROKUMEI COFFEE。地下にこういう店が急に現れるのが、モグラの良いところ。

ROKUMEI COFFEE。ところどころに、こういうきれいなカフェがある。いつも気になっているけれど、まだ一度も入ったことがない。

そのすぐ先に、クリームソーダの看板が出ていた。甘い誘惑。モグラはたいていダイエット目的で歩いているので、ふらりと入るわけにはいかない。

クリームソーダのポスター。青春のあま〜いトキメキ、の文字。
青春のあま〜いトキメキ、クリームソーダ。歩いている途中に、これはずるい。
CH. 02

大丸を抜けて、八重洲地下街へ

八重洲側に着いたら、大丸を抜ける。ここはいつでも混んでいる。1階でよくお土産を買う。

大丸東京店の地下入口。地下街からそのまま店内に続いている。
大丸東京店。地下街から、そのまま店内に入っていける。

そして八重洲地下街。ヤエチカ。ここから先がしばらく続く。

俺のイタリアンはお気に入りだ。フォアグラのロッシーニは、俺のフレンチの1号店のころからよく食べている。シンプルに旨い。

八重洲地下街の俺のイタリアンの店先。
俺のイタリアン。ここのフォアグラのロッシーニをよく食べる。

トイレが至るところにある。きれいだし、これがあるだけで安心感がまるで違う。

地下街のトイレの入口。明るくて清潔。
トイレ。ルート上、これに困ることは一度もない。

コンビニも至るところにある。ちなみにこのセブンイレブンは、夏場に塩タブレットを入口で無料で配っていて、1個までなら自由に食べていい。これ欲しさに、ついここでウーロン茶を買ってしまう。

CH. 03

ビルの地下が、そのまま道になっている

八重洲地下街を抜けると、今度はビルの地下を順に通り抜けていく区間になる。

グランルーフ、パシフィックセンチュリープレイス丸の内。ビルとビルの地下がつながっていて、そのまま道として使える。このマニアックな通り方を極めている人は、たぶん少ない。

ビルの地下の広い通路。人通りは少なく、明るい。
ビルの地下。通路というより、店の無い商店街みたいな顔をしている。

クリスプ サラダワークス。サラダの専門店まである。ダイエット中のモグラだって、腹が減ってもへっちゃらだ。

CRISP SALAD WORKSの店先。
CRISP SALAD WORKS。都会の人は本当にサラダが好きだと思う。
CH. 04

ルートで唯一、空が見える場所

ビル群を抜けると、この一周で唯一、空が見える箇所がある。

モグラに太陽は天敵だ。ただ、ここは一応まだ地下だし、ガラスの天井があるので雨には濡れない。ということで、モグラウォーク的にはギリギリセーフということにしている。

ガラスの天井越しに空が見える通路。一周で唯一、外の光が入る場所。
一周で唯一、空が見える場所。ガラス屋根があるので雨には濡れない。ギリセーフ。
CH. 05

京葉線沿いは暑い。国際フォーラムに入ると一気に涼しくなる

そこから東京駅の京葉線沿いに出る。

ここからはパブリックスペースだからか、ちょっと暑い。クーラーがほとんど効いていない。予算があまり無いんだろうな、と勝手に思っている。

東京駅の京葉線沿いの長い地下通路。白いタイル張りで、床に黄色い点字ブロックが続いている。
京葉線沿いの通路。この区間だけ、はっきり暑い。

それが、東京国際フォーラムに入った瞬間に一気に涼しくなる。境目がはっきりしていて、毎回ちょっと笑う。

東京国際フォーラムの地下入口。丸い柱に施設名が縦書きで入り、奥に上りのエスカレーターが見える。
東京国際フォーラム。ここに入った瞬間、空気が変わる。

有楽町ミュージアムでは、いまピングー展をやっていた。週末に入ろうとしたら、すごい人で断念した。

シズラーはサラダバッフェが有名だ。ちょっとお値段は張るけれど、とてもとても美味しい。

有楽町ミュージアムの入口。ピングー展の案内が出ている。
有楽町ミュージアム。ピングー展をやっていた。
地下街に面したシズラーの店先。サラダバーの看板が出ている。
シズラー。サラダバッフェが有名で、ちょっと張るがとても美味しい。

ついでに書いておくと、東京国際フォーラムは、そのフォルムが一番好きだ。よく一人で休んでいる。

あまり知られていないけれど、ノアの方舟をモチーフにした作りになっている。あと外壁沿いを全部登って屋上まで行ける。密かな写真スポットでもある。

東京国際フォーラムのガラス棟。船の底のような天井が広がる。
船の底のような天井。ノアの方舟がモチーフだと知ると、見え方が変わる。
CH. 06

有楽町から東京交通会館へ。ここが一番冷えている

また地下に入って進む。順路とは逆方向になるけれど、ビックカメラもすぐ近くにある。家電が欲しくなったらモグラでも買える。便利だ。

ウィズグリーンもある。だから都会の人はサラダが好きなんだって。ここまでで三軒目だ。

D8の階段を抜ける。この先に、モグラウォーキング屈指の涼しいエリアがある。

出口D8の階段。黄色い案内サインの下に、上りの階段と手すりが続いている。
出口D8。この階段を抜けた先が、ルートで一番冷えている。

東京交通会館。ここが一番冷えている。なんでだろう。生鮮食品を扱っている店があるからなのか、それとも単に予算があるからなのか。謎だ。

東京交通会館の地下通路。両側に店が並び、奥までまっすぐ続いている。
東京交通会館の地下。ルートで一番冷えているエリア。

いきいき富山館はホタルイカが旨いらしい。麺屋ひょっとこはいつもすごく混んでいる。食べたことはない。

大分のアンテナショップには足湯がある。一度入ったけれど、気持ちよかった。

いきいき富山館の店先。ほたるいかの一夜干しの垂れ幕が下がり、冷蔵ケースが並んでいる。
いきいき富山館。ホタルイカが旨いらしい。
おおいたアンテナショップの奥にある足湯。
おおいたアンテナショップの奥にある足湯。地下街に足湯がある。

つけ麺屋もいつも行列だ。都会の人は、並ぶのも厭わない。

CH. 07

ITOCiA、クリスピー・クリーム、illy

道を縫ってITOCiAへ。

クリスピー・クリーム・ドーナツ。ここは買うときに行列ができていると、並んでいる途中でドーナツを1個もらえる。もらって食べるともう十分なので、欲しくなくなる。

クリスピー・クリーム・ドーナツの店先。
クリスピー・クリーム。並んでいると1個くれるので、並び終わる頃には満足している。

illy。ここは朝にモグラをしても早くから開いているので、お世話になることが多い。サラダも食べられるし、コーヒーが美味しい。

illy IL BAR の店先。赤いロゴの下にカウンターと丸テーブルが見える。
illy IL BAR。朝が早いので、朝のモグラで重宝する。

そしてコンビニが、本当に至るところにある。

CH. 08

銀座駅。壁のクーラーと、公衆電話の跡

通路を抜けていくと、もう銀座に着く。

銀座駅の構内。丸ノ内線・日比谷線・銀座線の駅名標が壁に掲げられている。
15時19分、銀座駅。東京駅からここまで、一度も地上に出ていない。

地下には、このように壁にクーラーが設置されている。地下といえど涼しいのは、これが理由だ。助かる。

地下通路の壁に設置されたクーラー。
壁のクーラー。「涼しい地下街」は、こういうものに支えられている。

お手洗いも本当に至るところにあって、しかもきれいだ。東京は凄いところだと思う。

公衆電話が置いてあったと思われるスペースが、そのまま空いていた。何かしら有効活用したい。

公衆電話が置かれていたと思われる壁のくぼみ。
公衆電話の跡だと思う。ちょうどいい奥行きなので、何かに使いたくなる。

東京メトロといえば、シェアリング傘のアイカサ。ソーシャル系スタートアップの希望の星だと思っている。頑張ってもらいたい。

シェアリング傘、アイカサのスタンド。
アイカサ。モグラには要らないのだけれど、応援している。

銀座駅には、立って作業をするスペースもある。朝は作業リーマンで混んでいる。

三越にも直結している。当然コインロッカーもある。

銀座駅の立って作業できるスタンディングスペース。
立って作業できるスペース。朝はここが埋まっている。
銀座三越の地下入口。大理石の柱の上に、赤い MITSUKOSHI のサインが光っている。
三越にも地下から直結している。
CH. 09

東銀座も、歌舞伎座も、銀座シックスも、地下でつながっている

少し順路をそれるけれど、紹介しておきたい。

この長い通路の先には、東銀座駅がある。東銀座まで地下でつながっている。当然、歌舞伎座にも地下で行ける。

東銀座へ続く長い地下通路。左右の壁が奥へまっすぐ収束していく。
東銀座へ続く長い通路。この先に歌舞伎座がある。

それどころか、あまり知られていないけれど、銀座シックスにだって地下つながりで行ける。

つまり大手町から銀座シックスという、正反対の距離まで全部つながっているということだ。凄い。

「銀座六丁目 GINZA SIX」と書かれた出口サイン。
「銀座六丁目 GINZA SIX」。ここまで地下で来られる。

春水堂は嫁のお気に入りで、よくお茶を飲んでいる。

春水堂の店先。黒地に金の看板が掛かり、木目の壁が続いている。
春水堂。嫁のお気に入り。
CH. 10

銀座から日比谷へ。長い通路と、絵画

道をそれてしまったので、銀座駅に戻って日比谷駅へ向かう。

階段を降りたら、長い長い通路が始まる。

銀座から日比谷へ続く長い地下通路。
銀座から日比谷へ。ここはとにかく長い。

途中途中に、絵画の展示がある。何かのコンテストの受賞作品のようだ。

地下通路の壁の展示ケース。子どもの描いた絵が三点並んでいる。
通路の壁の展示。歩くだけの時間に、こういうものがあると助かる。

ミッドタウン日比谷にも行ける。今回はここのスタバでお茶をすることにした。疲れたらいつだって、綺麗なカフェで休める。これがモグラの強みだ。

CH. 11 / 休憩 36分

スタバで「池森さん!」と呼ばれる

スターバックスで、店員さんに「池森さん!」と話しかけられた。

驚いて見てみると、で知り合った人だった。なにやら10年以上スターバックスで働いているらしい。

カフェのネットワークに入っていると、こういう驚きがある。

ミッドタウン日比谷のスターバックスの店内。
ミッドタウン日比谷のスターバックス。ここで36分休んだ。

通路に戻る。ペニンシュラの入口もあった。この先、急に高級な雰囲気を感じる。

ペニンシュラ東京の地下入口。石壁に真鍮のプレートが掛かっている。
ペニンシュラ東京の入口。地下から、そのまま入っていける。
CH. 12

日比谷から二重橋前、大手町方面へ。ここが一番つらい

日比谷から階段を登って、一気に二重橋前、大手町方面へと向かう。あとはひたすら、ひたすら進むだけだ。

二重橋前方面へ続く地下通路。天井が低く、奥に人が数人歩いている。
二重橋前方面へ。ここから先は、ひたすら通路が続く。

こっちサイドはパブリックスペースなので、暑い。クーラーの効きが非常に悪く、ビル群を抜ける逆サイドとはえらい違いだ。

しかも朝の8時とか9時に歩くと、満員電車の熱気をまとったビジネスマンの群れが通過しているので、熱気がなおさらこもっている。ちょっとつらいゾーンだったりする。

5a。僕のルートでは、ここを入ることになる。この先は丸ビルだ。

ちなみにここで入らずに進むと、大手町に向かうことになる。もちろん大手町だって、東京駅とさまざまな所で連結している。

出口5aの黄色いサイン。右手に上りの階段が見える。
出口5a。ここを入ると丸ビル。入らずに進むと大手町へ。
CH. 13

丸ビルを抜けて、東京駅に戻る

丸ビル。予算があるからか、とてもとても涼しい。

丸ビルの地下フロア。ガラスの自動扉の向こうに明るい店舗が並んでいる。
丸ビル。ここも、はっきり涼しい。

そしてここを抜けると、入口である東京駅へ戻る。

これにて一周が終わり。東京丸の内から出て、丸の内に戻る。綺麗な一周だ。

東京駅の丸の内側の地下に戻ってきたところ。出発した改札前に帰り着いた。
16時32分、東京駅に戻ってきた。ここで一周。

EPILOGUE — MARUNOUCHI BLDG. 3F, ABOVE GL(それでも外には出ていない)

最後は丸ビル3階のシェアラウンジで一息ついた。揚パスタのコーンポタージュ味がお気に入りだ。ウィルキンソンのジンジャーエールは辛口も甘口も、どちらも好きだ。

丸ビル3階のシェアラウンジ。窓の外に東京駅の駅舎が見える。
丸ビル3Fのシェアラウンジ。窓の外に東京駅の駅舎が見える。
SUMMARY — LOOP LOG

一周して、こうだった

写真のタイムスタンプから起こすと、こうなった。

LOOP LOG — 2026.08, TOKYO UNDERGROUND
出発14:46 丸の内地下中央口
到着16:32 東京駅
歩いていた時間約1時間10分
休憩36分(ミッドタウン日比谷のスターバックス)
距離4キロちょっと(体感)
歩数6000歩くらい(体感)
地上に出た回数一周のあいだ、0回(ガラス屋根の下を1回通過)

体感では「1時間ぐらいかな」と思っていたので、だいたい合っていた。総延長18キロと言われる東京駅の地下街も、一周だけなら4キロちょっとで回れる。

このモグラウォーキングの良さは、メトロやJRのさまざまな所から入れるところだ。

だから夏場は、自分の最寄り駅から乗って、東京駅なり銀座駅なり行きやすいところまで来てしまえば、あとはモグラができる。暑くもないし、日焼けもせず、さまざまな買い物を楽しみながら歩ける。こんなに素晴らしいことはない。

というか、駅直結のマンションに住んでいたら、どんな天候だってここに来れば傘いらずで楽しめるわけで、いつかそういうマンションに住みたいと思っている。

君もモグラにならないか?

Will you be a mole, too?

LOOP CLOSED — 14:46 → 16:32 / MARUNOUCHI TO MARUNOUCHI, ALL UNDERGROUND